2017/01/21

■みなみ 田島健一『ただならぬぽ』を読み始めた

田島健一句集『ただならぬぽ』は、すこし読んだだけですでに〈ただならぬ〉句集であり、同時に、きわめて〈ぽ〉な句集であることがわかりました。そうとう楽しめそうです。

老人病棟みなみひらけば南風  田島健一

この句集を語るにこの句から、というのは、どうかと、自分でも思いますが、こういうわかりやすい句も入っているというのは、すこし驚きです。この句の前のページ(p13)も明瞭でわかりやすい句。意外に読者の事も考えているのかもしれませんね、田島さんは。※このあたり冗談ですから、気にしないように。

さて、掲句。

いなびかり北よりすれば北を見る   橋本多佳子

と対を成すような、明快な〈当たり前〉。

多佳子のこの有名句が入っているのは第3句集『紅絲』。1951年の刊行です。66年の時を経ての「老人病棟」。若かった国が老いるのに充分な時間といえるのかどうか。よくわかりません。





2017/01/20

■カモメとか廃屋とか

週刊俳句・第508号に、

終わらない散歩 小津夜景『フラワーズ・カンフー』 を寄稿しました。

エピグラフ(紀野恵の短歌)は、ずいぶん前、この句集を読んですぐのときに決めていました。ここは「やったぜ!」という感じ。

本文では、「三鬼、ぎゃふん」「人間ではなく狼に育てられた子」の2箇所を自分で気に入っています。

書き終えて、最後に、タイトル(終わらない散歩)で難渋しました。ほんと、むずかしい。これだ、といったぐあいには決まらなくて、妥協。ちょっとくやしい。

ひとつ、このレビューでだいじなことを書き忘れていた。

夜景さんの句は、調べがいい。

何度か書いたけれど、「調べ」とは韻律や音だけではありません。もちろんそれもあるのですが、語と語のつながりがつくりだす感触、語と語のつながりの纏う意味が調べに寄与する、邪魔しない。その意味での調べです。



余談。

『フラワーズ・カンフー』の冒頭の句にあるタブラ・ラサ。これについては悪い思い出があります。

俳句を初めて数年、結社にいたとき、何十句かの未発表句を対象にした結社内の賞に応募したことがあって、その句群のタイトルに「タブララサ」と付けたわけです。

審査結果が発表になって、見ると、選考委員のベテランがこのタイトルに触れている。

こちらとしては、俳句を始めてまもないから白紙状態というのはその気分に合っているし、ちょっとオシャレっぽいし、と軽い気持ちでしたが、どうもお気に召さなかったらしい。辞書を引いて意味を説明までしてくれながら、苦々しい口調。

タブラ・ラサとか(それから『フラカン』で隣りにある千年王国とか)、社会科学系の読書をしていたら、それほどめずらしくもなく登場する用語であり、ネタです。でも、耳慣れない人、初めて見たという人も多いのでしょう。邪推をすれば、そのベテラン俳人は、自分の知らない語が出てきたのがおもしろくなかったような感じでした。

それ以来、タイトルは、誰にでもわかる語にしようと決めました(例:けむり)。でも、ときどき、いたずら心が首をもたげて、その結社誌の自選5句のタイトルに「糸脈」とかと付けて、喜んでいましたよ。

とまあ、思い出話ですが、『フラカン』は冒頭に「たぶららさ」。わりあいチャレンジングな始まり方なんですよね。

「どう読もうが知ったことか」みたいな姿勢(好き勝手)が、あのキュートな雰囲気の一冊の中にあって、それが私には好ましいののですけれど(≫過去記事参照)。



2017/01/19

■青

吸い取り紙は必須。


もうすぐ底をつく。


2017/01/18

■ダメ! 顔に貼っちゃあ 杉山文子『百年のキリム』の一句

青蛙ほどの重さや顔パック  杉山文子

青蛙を顔に貼り付けたことがあるような物言いが、可笑しい。

実際そんな素敵な経験があるのであれば、顔パックでそれを思い出すのも不思議ではないとはいえ、なんだか可笑しいし、経験がなく想像だとしたら、重さの比喩、重さの単位に「青蛙」は可笑しい(1アオガエルは何グラムだろう?)。

おそらく重さは「軽さ」のイメージで、顔パックをしながら、小さなかわいらしいカエルのことを思っているという句。

そういえば、顔パックから目だけ見えるところ、カエルの顔に似ていなくもない。

なお、ニホンアマガエルは体表から毒を分泌しているらしいので、絶対に顔に貼り付けてはいけない模様。


杉山文子『百年のキリム』(2016年10月/金雀枝舎)
http://hiniesta.blog42.fc2.com/blog-entry-22.html

■「に」と「の」 些末なノウハウ論

ふじみん」さんのツイート。


「に」へのダメ出し、俳句世間で多いですよね。「の」に推敲/改稿/添削?

拙句でおもしろい例。

白南風や潜水服の中 10key『けむり』

某俳人:「に」は説明的だからダメ。

わたし:じゃあ変えましょうか。

白南風や潜水服の中

??? なんか意味が変わっちゃいましたね。

「中の人」www……こっちのほうがおもしろいかも。



ツイートもしましたが、句によって、「の」「に」は選べばいい話で、一般化はできない。

ただ、指導する人の気持ちもわかる。すぐ「に」とやっちゃう人があまりに多いので、注意喚起なんでしょう。

✕✕✕(場所etc)に△△△

△△△をヘンなものにすると、いっちょあがりっぽい。あるいは、「見つけたぜ!(どや顔)」っぽい。それをたしなめているのでしょう。