2017/05/31

■虹からふらここへ 歌仙「自転車」解題〔畢〕

七吟歌仙:自転車の巻

承前

ずいぶん間があきました。解題、忘れていたわけではないのです。

(…)

すんまっせん! 忘れてましたぁ!

さて、すでに名残裏に入り、いよいよクライマックスかつ物語の収束へ。 

虹のむかうに靴放り投げ  

全句の「歩」(将棋)から靴。巧みで軽やかな付け筋。



牛頭馬頭とヒッチハイクで品川へ  

靴を投げて行き先を決めたような一場面から、行き先(品川)と同伴(牛頭馬頭)と方法(ヒッチハイク)を指定。現在の品川だけじゃなく、品川宿の趣きも。

もつとひかりを(レモンヱロウの)  

どう付いたのか忘れたが(無責任)、夜になっちゃって道が暗いみたいにも読めて、面白い。ゲーテ臨終のことばが原典だから、名残裏に死はまずい、ということも言えるんだけれど、ここはまあオッケー、と(融通無碍、いいかげん)。

剝落の花となりたるフレスコ画  

ひかりから絵画、それもフレスコ画への展開はきれい。前句のある種破綻から、流れを落ち着かせ、なおかつ花の句として美しい。

千年かけてふらここを漕ぐ  

長大な時間にふわっと付けて、あざやか。「漕ぐ」で、発句の自転車に立ち返り、36句が円環を成す、という、素晴らしい挙句。これにはうなりましたぜ。

というわけで、巻くよりも時間がかかったんじゃないの? という解題。これにて「終わり」でございます。

また、頃合いを見て、巻きたいですね。そのとき、どんな連衆(メンバー構成になるかわかりませんが)、よろしくお願い申し上げます。

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