2016/08/09

■解体の音 大崎紀夫『ふな釣り』の一句

うららかな日なり一軒壊す音  大崎紀夫

一棟ではなく一軒。スケールが伝わる。そんなに大きくはない。「音」だから、解体の光景そのものが見えるわけではない。

家の原型はもうとどめていないのだろう。

郊外の、まわりに畑が残っていそうな立地を思うのは、「うららか」効果か。


掲句は大崎紀夫句集『ふな釣り』(2016年7月/ウエップ)より。

ほか気ままに数句。

ぶらんこの下の凹みを蹴りにけり  同

よく晴れて昼しづかなる祭かな  同

ががんぼが窓かきむしり港に灯  同(≫参照

葱を抜く電線に日はかかりゐて  同

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