2015/10/31

■子規・虚子でいちばんは?

(「いちばん」シリーズは音楽だけではありません)


子規でいちばん好きな句は、

あたたかな雨が降るなり枯葎  子規

かなあ。

これ、「な」が不思議な手触り。

虚子でいちばんは、

酌婦来る灯取虫より汚きが  虚子

かなあ。


このへんはこれから先、変化していくこともあるでしょう。


■幽閉の蛍 『BL俳句誌 庫内灯』の一句

教室に閉ぢ込められてゐる蛍  鈴木桃子

教材として飼われているのだろう。生徒や先生ではなく蛍の身になれば、まさに「閉ぢ込められてゐる」わけで、そこに、なんだか妖しい温度がある。


『庫内灯』の問い合わせetcは、このアカウントhttps://twitter.com/blhaiku1 の模様。

2015/10/29

■冷やし豚?

今井聖さんの『街』での連載は、ヘンテコ句の宝庫。

週刊俳句の今週号にも。

≫今井聖:名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫 (16)
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/10/16.html

「冷し豚」はさすがにむちゃくちゃ。無理筋。冷やし豚しゃぶしか思い浮かばない。

そもそも「牛冷やす」「馬冷やす」という季語が労役と分かちがたいことはこの記事の指摘どおり(そういえば「冷やし牛」「冷やし馬」という使い方も見たことがない)。

「ホトトギス」って、とってもフリーダムだったのだなあ、と、うれしくなります。


ちなみに、

保安官一行馬を冷やしをり  10key 「ゆふさり」10句より

これはフリーダムでもむちゃくちゃでもない。


〔参照過去記事〕
≫和知喜八のモンド句 『街』の今井聖連載より
http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2015/02/blog-post_12.html


2015/10/28

■紙魚の食生活 『BL俳句誌 庫内灯』の一句

『BL俳句誌 庫内灯』(2015年9月20日)より。

書庫冥(くら)し紙魚(しみ)は正史を食べのこす  石原ユキオ

※( )は誌上ではルビ

「外史」のほうが美味なのかもしれませんね。「正史」は口に合わない。「BL俳句」なるもの、〈外〉〈異端〉に食指を動かすものであるならば、掲句はいっけんそのネタらしくはないものの、オツなスタイルで主題を射程にした句のようでもあります。

書物のコンテンツ(ソフト)と紙魚の組み合わせはわりあいよくあるのですが、食べ残しのほうに着目した句はめずらしい。

(正史が横溝正史のことだったりしたら、まさかそんなことはないと思いますが、お手上げです、そうは読みたくない)

「冥し」は「書庫」にはムダにも思える重複的な形容ですが、念を押すような構成も必要です。この句の場合、効果があると思います。


『庫内灯』は本文150頁超。ゆっくり読ませていただいています(また取り上げる句が出てくるでしょう)


余談ですが、金原まさ子と同誌編集発行・佐々木紺の往復書簡の数ページ、横組で右頁→左頁と、ページネーションが崩れてしまったのは、とても残念。ここは縦組しか対処できなかったところ。


なお『庫内灯』の問い合わせetcは、以下のアカウント https://twitter.com/blhaiku1 の模様。


■植木等でいちばんは

シリーズ化です。タグも付けちゃいました。




植木等は大好きな曲が他にもいくつかありますが、これは歌詞がいいです。「銭のない奴は俺ンとこへ来い。俺もないけど、なんとかなるさ」。最高ですね。続いて「見ろよ、青い空」と大きく広がって抜け感がきわまるとこも最高です。


甲乙つけがたく好きなのは、こちら。


2015/10/26

■秋たけなはの句会かな+朝ドラのこととか

くにたち句会、無事終了。

ロージナ茶房にて席題6題。「もらふ」「吸」「腰」「出」「長いもの」(テーマ)「酒の種類」(同)。

句会後、京都・薬師庵の鴨うどんすき、ほか。


京都で思い出したのですが、NHKの朝ドラ、京都弁と大阪弁が区別されていて、感心しました(「おとうはん」「おかあはん」は京都しか使わない。「この子たち、京都出身?」と、続けて観ている嫁はんに訊くと、そうだと言う)。


で、さて、句会の話。

夜中の中央線が人身事故で止まったりして、大変だった模様。いろいろとお疲れ様でございました。


かぼちや役の次に出てくる茸役 10key

散歩の途中、広場に親子が集まりハロウィーンの催し。席題とはいえ一種の吟行句。秋が深まってまいりました(冬の句もちらほら)。


月あふぐ人生禿げてのち長し 10key

「作者、禿げてんのか?と」詰問され、名乗ってから、額をお見せした。風前の灯火。

秋ですなあ。





■セイム・オールド・菅井きんズ・ソング

九時以降自動扉のひらくたび植木等が飛び出す仕組み  10key

世界中のポップソングに伝説のやうに備はる菅井きんメロ

ゆふぐれのメトロポリスの雑踏を追い越してゆく横山やすし

皆さん、月曜日ですね。

すみだ水族館ミュージアムショップ
(画像をクリックすると大きくなります)

2015/10/25

■アフロとかポニーテールとかテンガロンハットとか

あの部位をどう呼べばいいのだろう。髪の生えたところ(生えていなくとも本来は生えているはずの部位)。頭部は首より上を指すので範囲が広すぎる。頭頂部では狭すぎる。側頭部も後頭部も含まれるので。

適切な呼称が見当たらない。髪、あるいは禿と呼ぶしかないのでしょうか。


で、この部分は、頭部という身体ヒエラルキーの上部に位置するものの、そのものではなく、覆うもの。

顔というアイデンティティと密接なものの(重要な)一部ではありますが、顔そのものではない。顔と違ってどんどん変わってゆく部分という意味でも、顔とは区別すべき。

この部位(髪あるいは禿)に、ある種の仕掛けをほどこすと、とても奇妙なことが起こったりします。

アフロでもポニーテールでもこわい  久保田紺〔*〕

可笑しい。どんな人なのだろう。

テンガロンハットも似合うわかめかな  榊陽子〔**〕

これも可笑しい。ワカメが帽子をかぶるというだけで可笑しいのに、さらにテンガロンハット。


「可笑しい」は俳句においては忌避されることの多い感慨ですが、川柳ではさにあらず。

それにまた、「可笑しい」は一般には、きちんとした価値を有するものであります。「可笑しい」は、悦ばしい。すなおに悦ばしく「可笑しい」を味わいたいものです。こうした句を前にしたときは。



三島忌の帽子のなかのうどんかな  攝津幸彦


〔*〕久保田紺『大阪のかたち』(2015年5月/川柳カード叢書)

〔**〕榊陽子「ふるえるわかめ(なな子、社長ほか代用可)」
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/10/10.html


2015/10/24

■東京タワー幻景

東京タワーの根つこで白い盆踊  有馬ルイ

実景なのでしょうが、不思議な感触が残ります。《ゆふぐれの畳に白い鯉のぼり 鴇田智哉》とは、アプローチが違いますが、「白い」が共通するからでしょうか、ちょっと似通った感触。

「根っこ」効果もあるのかも、ですね。建造物が植物か何かのような、有機的な様相を帯びる。


掲句は『街』第115号(2015年10月1日)より。


■はるばる廊下をやってくるもの

かまきりが長い廊下を歩いてくる  小林苑を

真正面から、遠近法(透視図法)を激しく感じるの図。

「長い」の一語がツボ。

「長い」は人間(作者)にとっての「長い」わけですから、かまきりにとっては、それはもう、むちゃくちゃに長い。


掲句は『里』2015年8月号(2015年9月30日)より。


2015/10/23

■「そんなものは俳句ではない」判定と「つまらない」断定

俳句か俳句ではないか、という話題をもうすこし引っ張ります。

A 俳句であること

B つまらなくないこと

AとB、どちらを優先するか、という問題。人によって違うでしょうが、たとえ俳句を書くにおいても、Bを優先する人は、います(私は、そう)。

つまらなくないなら、俳句でなくてもかまわない。

(ただし「俳句ではない」という判定は他人様のもの。俳句を書くのだからして、自分では俳句と思っている)

ひとつ前の記事で言えば、美味しければ、「こんなものはきんつばではない」と言われてもかまわない。不味いきんつばより、はるかにいい。そういう考え方。


なお、一元屋のきんつばは美味しいきんつば。なので、つまらなくない俳句、という ことになります。

ややこしいな。


なぜ、もうひとつの記事まで引っ張るのか?


■きんつばというものをあまり食べないのですがなにこれすごく美味しい一元屋のきんつばと前島密ふたり


2015/10/22

■「それは俳句ではない」…のか?

僕にとって、このような俳句は、俳句であることを認めたくないものです。:仮屋賢一
http://sengohaiku.blogspot.jp/2015/10/kt1.html

A これは俳句ではない。

B これは俳句だ。つまらない俳句だ。

このふたつはそれほど違うことは言っていないようにも思える。自分が評価しない句を前にしてのセリフとして。

前者(A)には、俳句ジャンルへの信頼・信奉・期待が見いだせる、後者(B)はさにあらず、といった違いはあるものの。

前者には、「これを俳句と認めたら、俳句がつまらなくなる」といった心情があるのかもしれません。

さて、私といえば、たいてい、Bのほう。「本人(当該の句)が俳句と言うのだから、俳句なのだろう。俳句にもいろいろなものがある」と考える。現実主義。つまらないものも含めて俳句、という考え方です。

理想主義がある種の暴力(ざっくり言えば排除etc)への破裂を孕む一方、現実主義は虚無にからめとられる、それぞれに落とし穴があるわけで、このへん、良き態度・良きバランスとはどんなものなのか、たいへん難しいところです。

さらに言えば、何がつまらなくて、何がつまらなくないのか、そこは個人個人がばらばらに拡散してしまうという事情もあって(だから「いい俳句とは?」といった追求が生まれたりもする)、よけいややこしい。

自分としては、総論よりも各論、サロン的言説〔要説明だけど別の機会に譲る〕から遠く身を置き、享楽的読者でいつづける、といったところでしょうか、とりあえず。


(イメージ画像。本文とは無関係)

■関戸橋に秋

多摩川にかかる橋でウチからいちばん近い(といっても3キロほどありますが)のが関戸橋。

足は1998年製ビアンキ(安価なタイプです)。
タイヤがもう純正ではなくなっていますが、まだ元気。

向こう岸は聖蹟桜ヶ丘の街。

2015/10/21

■作句上の(あくまで個人的な)目論見として

有季定型・文語で「ヘンなこと」を言いたい

というのが真意であります。

柳本々々さんに《俳句という表現形式を使って〈ヘンなこと〉をしてみたい》という私のセリフを引いていただいています(≫こちらです)が、言いたかったのは、上記のようなこと。

似たようなものかもしれませんが、いちおう、以上、メモ的に。

なお、この「ヘン」というのはちょっと口が滑ったところもあって、誤解を招きやすい。奇想・奇行に限った話ではなくて、幅が広く捉えていただきたい。「え? なに言ってんだ? これ」とちょっと気持ちに引っかかるようなことでいいのです。


以下、余談。

つまりね、いかにもヘンなことを言うよ、という顔の人がヘンなことを言うよりも、ちゃんとしてそうな人がヘンなことを言うほうがおもしろいじゃないですか。

そのほうがファンキーかな、と。

「表現」「形式」といった大きな話よりも、もう少し小さくて具体的な、いわば「戦術」のようなことです。

逆に、いかにもヘンなことを言うよ、という顔の句が、まともすぎて退屈なこと、何万回も繰り返されて型にはまりきった叙情を披瀝しているだけというケースも多々ある模様。そこは避けたい。

ま、このあたりは、単に好み・趣味の問題です。



あと、ルール・規範を尊ぶ、という態度も、上記と関連します。

ルール・規範があるからこそ、反則技や逸脱を遊べる

その際、ルール・規範は厳格なほどいい。

ルール・規範は、私が俳句をつくっていくうえで不可欠なのです。ルール・規範について、よく学習することもだいじ。精進精進、であります。


(イメージ画像 記事とは関係がありません)



2015/10/20

■川ラヴァーな外階段 関戸橋を南に渡り乞田川を遡上

(画像をクリックすると大きくなります。他同)

乞田川(≫Wikiはこちら)を自転車で走りました。川ラヴァー暮らしはまだ続いております。いい外階段です。しかも2本。

(なんちゃってエフェクト写真。通常の写真は記事の末尾に)


この日の乞田川の模様は以下に。

大栗川との合流近く。大栗川はその後多摩川と合流。

なかなか良い川です。というか、悪い川というのはなくて、
みなそれぞれに気持ちのいい川。

京王多摩センター駅を過ぎてから南に折れ、
やがて暗渠に。川を走るのはここが終点。
(画像をクリックすると大きくなります。他同)

2015/10/19

■sleepwalking






■秋の深まる菅井きんの歌

ハナ肇ほか数名の闊歩せり鰯が空に群れなす日々を 10key

トニー谷踊りし頃の青空ぞ色とりどりの鳥の飛び交ふ

人類が生まれた頃の青空を知つてゐるのかジミー大西


皆さん、月曜日ですね。




2015/10/18

■外階段 東京・押上あたり




浅草にクルマを停めて押上まで散歩。東京スカイツリーに初めて行きました。登りませんでしたが、下の施設をぶらぶら。食べ物屋が充実していますね。



(画像をクリックすると大きくなります)

■サイモンとガーファンクルでいちばん好きなのは

いよいよシリーズ化か?

(音楽以外にも広がりますね、これ。例えば、いちばん好きな鉛筆は? とか)

サイモンとガーファンクルはある時期、えらく売れて、メジャーすぎて、コアな洋楽ファンから無視される傾向があるようですが、音は、なかなかです。玄人好みでもあると思うですよ。

そのあたりは、カーペンターズも同様かもしれません。ポピュラーすぎて、マニア受けしないのですが、音の内実は、たいへんマニアック、という点で。


さて、本題。私のいちばんは、この曲。あまり迷うことがない。




あ、そうそう。いちばん好きな鉛筆は、ステッドラーの青いの、です。スタンダードですね。

ついでだから。カヴァーも。

2015/10/17

■ダイアナ・ロスとシュープリームスでいちばん好きな曲は

△△△でいちばん好きな曲は、というのを、ブログで書いたことがあるような、ないような(忘れた)。

シリーズ化も視野に?



イントロがまず素晴らしい。「曲」とは言いますが、メロディー、歌詞だけでなく、アレンジ、音も、重要な要素になります。


ついでだからカヴァーも。

こんなのがあるんですね。キング・カーティスのインスト。

■「それ、俳句じゃないほうがいいのでは?」という句は、実際、多いですね

短歌にすることで最も魅力的に見えることだけを 短歌にしてください。 エッセイにしたほうがいいことは、 エッセイにしたほうがいいです。 枡野浩一の短歌教室
http://www.k-hosaka.com/merumagaK/vol.03/masuno1.html

「短歌」の箇所は「俳句」に代替可能。

では、エッセイの部分はどうでしょう?

〔写真に撮ったほうがいいものは写真のほうがいい。俳句にすることもない〕

これはそのとおりの模様。

でも、実際のところ、「見れば済みますよね。わざわざ俳句にしなくても」「見たほうがおもしろそう。俳句にするよりも」という句は多い。ただ、これを句にしないとなると、句にできることはずいぶんと減ってしまうかもしれない(一句もできない、という人も出てきそう)。

では、これだと、どうでしょう?

〔アニメにしたほうがいいことはアニメのほうがいい。俳句にすることはない〕

これも言えそうだけど、俳句やエッセイや写真と違って、アニメは誰にでも制作できるものでもない。「アニメはたいへんだから、俳句にする、というのは許されていい」という見方もできそう。けれども、考えてみれば、それもおかしな話。

俳句にすることで最も魅力的に見えることだけを俳句にしてください〕というのが本来の姿勢、枡野さんの教え(の俳句的展開)なわけだから。

この視点、つまり、「他でやるほうがいいんじゃないの? そのネタなら」という視点は、いつも持っておきたいものです。 

ある種の禁欲でもありますから、なかなか困難ではあるのですが、ね。

ただ、だからといってちぢこまることもない。〔俳句だからこそおもしろいもの〕はぞんがい幅広い。そのことは、これまでずっと俳句というもの(さまざまな句)が私たちに教えてくれている。

2015/10/16

■外階段 兵庫県姫路市・夜

(クリックすると大きくなります)

■くにたち句会〔10月〕のお知らせ

2015年1025日(14:00 JR国立駅改札付近集合

句会場所:いつものキャットフィッシュ(予定)、あるいはロージナ茶房

席題10題程度

句会後の飲食もよろしければどうぞ(会費アリ)


ご参加の方は、メール(tenki.saibara@gmail.com)、電話etcでご一報いただけると幸いです。

問い合わせ等も、上記メールまで。

2015/10/15

■外階段 兵庫県姫路市・夕刻 〔2〕

(クリックすると大きくなります)


2015/10/14

■外階段 兵庫県姫路市・夕刻


(クリックすると大きくなります)

2015/10/13

■きわめてイチジクづく

前記事のデザートを食したお店は「ビアンキッシマ」というのですが、店を出てその近くのパン屋さん(サ・マーシュ)でクルミとイチジクのパンを買って帰ったら、南房総・花の谷クリニックの伊藤先生からイチジクが届いていました(謝謝)。




無花果熟れとつととつとと風呂煙  八田木枯


なお、ビアンキッシマの料理もサ・マーシュのパンも、とても美味しい。謝謝であります。

■前島密ふたりと無花果とバナナのデザート

撮影場所:神戸・北野
(クリックすると美味しくなります)

2015/10/08

■遠すぎてどこが外階段なのかわかりにくい写真になってしまった外階段

浅川沿い
(クリックすると大きくなります)

2015/10/07

■閒村俊一句集『拔辨天』受賞を祝う会へ

神楽坂の飲み屋へ閒村俊一さんの受賞祝賀ということで、あの句集が「一行詩」か? 「詩」か? というちょっとした引っ掛かりはあるものの出かけてみると、始まり時刻一分前の店内はすでに大勢の熱気で噎せ返り、気後れしておそるおそる覗いている私を呼ぶ大声に振り返ると、閒村さん本人で、どうもどうもとそれで挨拶は済んだわけだから、会費を払ってとっとも帰ってもよかったのだが、まあ、いちおうと入ってみると、知り合いは句集『天使の涎』が話題沸騰の北大路翼氏のみという場違い感で、どうしようかととまどいつつ座っていると、台東区方面から知り合い二名様、いつもどおりさして意味のない会話、だけどこれが意外と大事で楽しいんなんだよねという雑談で一時間あまりをやりすごしたのち、終わるまで一人飲みで待ってるわという嫁はんが待っているはずのサイゼリア(格安店)へ、台東区知人に「あれをイタリアンと言うかよ」と突っ込まれつつ到着すると、果たして嫁はんは赤ワインのデカンタをほぼ飲み尽くしてはいたが、さらにワインを注文し、四人で軽く飲み喰いしつつ、やっぱりここでも意味のない会話、例えば「句集はどうなってる?」「え? 句集なんて出すの? いつ?」「三、四年後? いやもうすこし早いかも」とかなんとか言ってるうちに十一時をまわり、ではそろそろと格安イタリアン、あくまでイタリアンを出て、台東区住民御二人様は神楽坂に群れなすタクシーの一台にお乗りあそばされる一方、私たち夫婦は東西線は早く感じるねえなどと言いながら地下鉄に揺られつつ帰路。

閒村さんの俳句は好きだし、徹底して「虚」しか書かない態度は大いに注目しているので、今回の受賞はとりあえずめでたく、集まりの前の時間には神楽坂の路地を散歩できたし、「良い晩だなあ」ということで火曜日の夜は更けていったわけです。


■市ヶ谷駅から見える釣堀

『鏡』第18号(2015年10月1日)より。

一日を駅から見える釣堀に  寺澤一雄

中央線(総武線)を長年使っている者としては、一度は句にしたいネタです。

車窓から、プラットフォームから、これを眺めつつ、いつかあそこに座ってみたいと何度も思った人は多いと思います(私を含め)。でも、まだ行ったことがない、行くことなく終わるだろうという人も多いと思います(私も、そう)。


週刊俳句の表紙写真にも登場。↓
http://hw02.blogspot.jp/2012/06/268.html




2015/10/06

■外階段29 アパルトマン

クリックすると大きくなります

2015/10/05

■とりあへず菅井きんの歌

社会派の君よ今こそ立ち上がれ安倍阿部安部とややこしいけど 10key

食べて寝て目覚めて食べて毒蝮三太夫的世界に生きる

いふなればつまり空気のやうなもの菅井きんとはさういふものだ



2015/10/04

■フェンスの百合

百合一輪フェンスに茎と隔たれて  花谷清


百合は、一輪で、しかもフェンス(金網)がらみで咲くイメージがあります。

一度きり見た、その景色が強く残っているせいかもしれませんが。


掲句は『藍』第492号(2015年10月1日)より。

2015/10/02

■聞き比べ:Tighten Up

The Bamboos - Tighten Up


Bernard Perdie - Tighten Up



後者は史上最高のライブ映像のひとつでしょうなあ。

■葉山 補遺



2015/10/01

■本日は「都民の日」につき「東京」俳句コレクション

「東京」句コレクション
http://hw02.blogspot.jp/2011/04/blog-post_27.html

「東京タワー」句コレクション
http://hw02.blogspot.jp/2011/01/blog-post_29.html



東京の雪のはじめのマンホール 10key 句集『けむり』

東京タワー三本ぶんの水あたり 10key 「東京タワー」10句

「上京悲話」14句:『鏡』第2号
http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2013/09/blog-post.html


■「お金持ち俳句」コレクション

年の瀬の街置き去りにして離陸  今井肖子

正月のビーチをとんで雀かな  上田信治

これといふ宝石もなく香水を  矢野玲奈

トランクはヴィトン家出は雁の頃  竹岡一郎

耳飾り外して笑ふお金持ち  山口東人



貧乏はいやだと泣かれクリスマス  10key 「にんじん」10句