2015/11/27

■東京の表層

表面主義俳句は、深入りを拒絶する。

深さ・厚さではなく、浅さ・薄さ。膜の上に、みごとにとどまる句。

表面主義俳句は、読み手の中に蓄積されたドラマ群を参照させない。

あるとすれば、一秒先に見る一枚の(厚さを持たぬ)ドラマ。

表面主義俳句は、見ることのできない内面(感情、思想、個人史に縛られた私)に埋もることを拒絶する。「見た目」という表面にまで高められた句。

表面主義俳句は、描写や伝達や感興やあらゆるものの〔結果〕ではない。それは〔契機〕である。

  東京の美しき米屋がともだち  阿部完市

表面主義俳句は、意味から逃れる。言い換えれば、意味が、ない。

  東京を歩いてメリークリスマス  今井杏太郎



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