2015/07/04

■冒頭集:日影丈吉・家

東京の街を車で通りながら、ときおり、はっと息をとめるものがある。家だ。ふしぎな家を見るのだ。何がふしぎかはちょっと説明できない。そういう家は、その環境に合って美しい。いいながめになっている。そのくせ一方に何か周囲に拮抗するような顔を持っていて、はっとさせるのだ。
日影丈吉「ひこばえ」:日影丈吉幻想小説集『夢の播種』(1986年/早川書房)所収

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