2015/05/11

■大学の食堂で食べたい(いえ、ぜんぜん部外者なんですけど、それでも)

私の若い頃の大学の食堂(学食)といえば、椅子やテーブルは壊れて(学生に壊されて)ガタガタ、壁に落書きがあったり、立て看(自治会の勇ましい文言を独特の書体で描き込んだ暑苦しい立て看板)が作りかけやら廃棄の途中でそこらに転がっていたり。それでも食堂のおばちゃんたちはやさしかったけど。

ところが最近はずいぶんきれいで、カフェテリア方式(なんというキラキラした響き!)のところもあるらしい。なんたること。隔世の感。

大学に食堂のある日永かな  宮本佳世乃

この句、内容をいえば、「学食日永」と7音・4文字で済む。長いものを短く17音にまとめるのが俳句と思っている人もいるようですが、それは違います。長く伸ばすのも俳句。だらーと伸ばした感じがいかにも日永、だなんて句評を言う人もいそうです。

では、なぜ、 7音・4文字で済むものを17音・12字にまで伸ばしてあるのか。それは、それが俳句の調べというものだから。

素晴らしくのんびりした句。


ところで、道を歩いていて、大学があり、それが昼どきだったりすると、「学食で食べたい!」と思うことがあります。でも、学生でも職員でもない人間が食べちゃあいけないんだろうな、潜り込めたとしても落ち着かないだろうなあ、と思うので、入っていったりはしません。

学生さんと一緒なら大丈夫なのでは?

私といっしょに学食に入ってくれる学生さんはいないのだろうか。

そう贅沢でもない願いだと思うので、ずっとこの願いを抱きつづけるつもりです。


掲句は、『オルガン』創刊号(2015年4月20日)より。


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