2012/08/18

観くらべ 第17番 資本主義

世の中には、どこからこれだけのオカネが湧いてくるんだろうという大富豪もいれば、その日の食費も心配な貧乏もいる。当たり前の事実を言っていますが、はい、予約したDVDをTSUTAYAが2本ずつ郵送で送ってくれるサービス。その2本に勝ち負けを付けるという、ヘンテコリンなシリーズの第17弾です。

ジョー・ブラックをよろしく(マーティン・ブレスト監督/1998年)



ファーストフード・ネイション(リチャード・リンクレイター監督/2006年)

「ジョー・ブラックをよろしく」をひとことで言うと、死神のホリデー・ロマンス。死神(ジョー・ブラック)役のブラッド・ピットのちっちゃな子どものような笑顔(これ、ほんとに魅力的なんですよね)、取り憑かれる大富豪役のアンソニー・ホプキンスの、一流の人間をやらしたら誰にもひけをとらないセリフや表情、立ち居振る舞い、どちらも満喫できる映画。

ちょっと考えてみると、死神という超常的な存在=B・ピットにナイーヴネス(生硬)、モータルな(死すべき)存在=A・ホプキンスに洗練という属性を結びつけている点、意外に深い、とも思えてきましたが、映画全体の感触は、いかにも米国、ハリウッド的(と言っていいのだろうか)。「これが人生♪」なヒューマン映画でもありましょう。楽しめました。

しかし半面、「所詮、大金持ちの話でしょ」とヤサグレたくもなる。「この素晴らしい世界♪」と歌われてもなあ、そりゃあんたにとっては素晴らしいだろうけど、とシラケる部分もある。とりわけ、下記で述べる「ファーストフード・ネイション」を見てしまうと…。


「ファーストフード~」は、ハンバーガー生産の裏側、ということでノンフィクション的な映画かと思いきや、存外、劇映画っぽい。精肉工場で働くメキシカン(違法越境労働者)のありさまがリアル。といっても重苦しくなく、メッセージ性は濃過ぎない(それはそれで問題か)。

この映画を観てしまったので、このさき、ハンバーガーはよほどのことでないと食べられない(これまでもあまり食べていないんだけれどね)。

で、勝敗なのですが、引き分け。

なんかねえ、世の中、どちらもあるんだなあ、と。

こう書くと、のんき過ぎますが、資本主義の世界で、金持ちでもなく極貧でもなく、幸せでも不幸せでもなく、テキトーに暮らしている者としては、どちらの映画もこの世の一様相ではあるな、と、興味深く楽しみました。

なお、マーティン・ブレストは、「ビバリーヒルズ・コップ」という大ヒット作の監督。これよりも「ミッドナイト・ラン」がとても良かった。リチャード・リンクレイターは「恋人までの距離(ディスタンス)」「スクール・オブ・ロック」「ビフォア・サンセット」がとても良かった監督。



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