2009/10/01

怒りのステテコ

ステテコにポケットが無い握りこぶし  遠藤野放
長谷川裕さんの「柏原和男の一句」(週刊俳句・第127号)に引いてある句。句そのものが「握りこぶし」のようにゴツゴツしている。怒りが座五にこめられているのだろうが、それだけでは読者としては息苦しい。ステテコから来る愛嬌のようなものが成分として混ざることで「よろしき俳句」となっている。

愛嬌はだいじ。

テンションのなかの弛緩。怒りや哀しみのなかの笑い。

あるいは自己戯画化。

自己戯画化とは、自分との距離をとれること。自分との距離がとれない人が書くものは、息苦しいだけでなく、暑苦しく、またしばしば痛々しいだけの〝自慰〟に陥る。

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